藤沢周平『小説の周辺』(文春文庫)

裏表紙の著書紹介文には、「作品と併せ読むべき興味津々たる一冊、藤沢ファンには待望の名エッセイ。」とある。普通の藤沢ファンは時代小説から読み始めるのだろうが、私の場合は順番が逆で、これまでに読んだ藤沢周平の本は、『周平独言』、『ふるさとへ廻る六部は』、そして今日買った『小説の周辺』と、エッセイ集ばかりである。エッセイには、藤沢が学生時代を過ごした山形市、それも、私の実家近くの「寺町」や「北辰寮」(かつての師範学校、今の山形大学学生寮)といった固有名詞が登場する。現在の地名でいうと緑町三丁目、緑町二丁目にあたる。時代は違うが、同じ町に住んでいたのかと思うと親近感が湧いてくる。