依田明『ひとりっ子がわかる本』(PHP文庫)

ひとりっ子がわかる本 (PHP文庫)

ひとりっ子がわかる本 (PHP文庫)

会社近くの図書館で借りる。学生時代に読んだ『ひとりっ子の本−父さん母さんをウラむな』(情報センター出版局)の文庫版。まえがきに「古くなった資料、エピソードなどは書き直した」とあるので読んでみたが、著者がひとりっ子やひとりっ子の親に対して抱くほとんど偏見にも近いマイナスイメージや、ひとりっ子のネガティブなエピソードをこれでもかこれでもかとあげつらっている点は初版本と全く変わっていない。「伸ばせ!『ひとりっ子パワー』」と題する章でも、「自分を殺すことによって、集団の中で個性が生かされるのである」と、そのトーンは変わらない。不快な読後感が残る。
実際のところ、私も含めひとりっ子は、世間がひとりっ子に対して抱く「わがまま」「協調性がない」といったマイナスイメージを意識し、そうした面が表に出ないよう必要以上に抑制的に振る舞う場合が多いように思うが、どうだろうか。
ひとりっ子の方には、ひとりっ子のプラスイメージに光を当てた、畑田国男『ひとりっ子、大好き』(主婦の友社)をお薦めしたい。

ひとりっ子、大好き

ひとりっ子、大好き