生きる (文春文庫)

生きる (文春文庫)

表題作『生きる』を読む。亡き藩主・飛騨守の後を追って腹を切ることを禁ぜられ、生き続ける主人公・石田又右衛門。「忠義の家臣が主君の後を追うのは当然」という家中の空気、心ない中傷、娘からの義絶、家族の死。針の筵のような日々を過ごした末、「長らく面倒をかけたが、この通りもう大丈夫だ、今後は歩ける限り何があっても出仕いたすゆえ、そう心得て仕えてもらいたい」と言えるまでになり、本来の威厳を取り戻す。